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1981年8月16日(獅子座)神戸出身。東邦出版に勤務するフットボールジャンキーな編集長・中林良輔による多角的サッカー日記。カントナとゴッドファーザーをリスペクトし、心のクラブはマンU。
by takeoverproject
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反論と反省と切ない映画
反論と反省と切ない映画_c0030862_1547759.jpg

下記は東京に来てからの盟友であり宿敵のゲル氏の日記に掲載していただいたありがたいご意見。
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我らがキング・りょーすけが編集した本。
ただ、ひじょーに申し訳ないけどあんまり好感持てなかった。
(すまん、リョースケ…)

1点、どーにも前提が違う気が。。。

一般的に「オシム=走るサッカー」という公式が成り立っているが、ボクはこれだと不十分だと思う。オシムの神髄はただ「走る」だけではない。

そうではなく、「相手より走って数的優位をつくること」こそがオシムのサッカーだ。

本著でも、確か前半部分のオシムの練習の解説パートで「前線へダッシュする」という言葉が頻出していたと思う。だが、それではオシムが意図するところの半分しか伝わっていない。一番大事なのは「なぜ走らなくてはいけないのか?」という問いなのでは?

うしろの方に「数的優位」という言葉はやっと出てくるが、少年サッカーの指導者やこどもたちを読者の対象として考えているのなら、一番最初に伝えるべきだったと思う。

詳しくは後日に
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ふむふむ。

以前、友人から「自分の個展で“ご意見ご感想ノート”を置いていた時、良かった点の指摘は自信になり、悪かった点の指摘は勉強になった。それから私も何かの感想は良いと感じた点と悪いと感じた点の両方を伝えるようにしている」という話を聞いたときから、僕もそう心掛けているとともに、それまで賞賛のみを受け入れて批判には耳栓していた自分を改めました。というわけでこういう僕の仕事に対する批判は大歓迎です。とはいえ批判ばかりだと引きこもりになって部屋から出てこなくなりますが。。

反論としては、まず本書で一番伝えたいことは「相手より走って数的優位をつくること」ではありません。オシムがただ「数的優位」にこだわっているのであれば、単純にディフェンスはゾーンにするべきだと感じますし。そもそも「相手より走って数的優位をつくること」がオシムサッカーの神髄であるなら僕はわざわざ本にしたいとは思わなかったです。もちろんオシムサッカーに「数的優位」を作れる選手が必要不可欠というのも事実ですし本書でも有効な手段のひとつとして紹介はしてます。

僕の感じるオシムのサッカーは複雑なんですが簡潔に表現するなら“考えるサッカー”、選手全員が場面場面で臨機応変に対応できるサッカーです。なので本書の示すオシムサッカーに明確な答えはありません。あえて「なぜ走らなくてはいけないのか?」という問いに答えを出すとすれば「ゴールを決めないと勝てないから」。その過程の選択肢は無限大。大前提として攻撃時は多少リスクを冒してでも前に出ることをオススメはしてますが、細かいことは自分で考えて探してくんろ。というのが本書のスタンスです。

とはいえ作り手側の考えるオシムのサッカーが複雑でうまく一言で言い表せなかった(“考えるサッカー”では普遍的で具体性にも欠ける)ことや、本書はきっかけ作りのための本であって“細かいプレーの選択は自分で考えて”という説明が足りてない(あるいはセールスを考えて直接的な表現を避けていた)点は反省すべきですね。あと確かに「前線へダッシュする」などのバラエティ&インテリジェンスに欠ける表現が多いのは完全に僕の力不足です。。



話は変わって、週末に観た映画の中で下記3作品がなかなか良かったです。3作品ともに共通していたのは映画全体を覆う“切なさ”。

『トリスタン+イゾルテ』
「ロミオとジュリエット」のモデルとなった有名な英国の古典的悲恋物語。
「ロミオとジュリエット」ほど白黒がハッキリしてない点がなおさら切ない。

『ブラックダリア』
1940年代に起こった有名な猟奇殺人事件を基にしたクライム・ミステリー。
ブラックダリア事件を追及した作品ではないのだけれど時折登場する“世界一有名な死体”エリザベス・ショートの生前の描写が切ない。

『ロスト・ストーリー〜現代の奇妙な物語〜』
7つのエピソードを7人の監督で撮ったオムニバス形式のスタイリッシュな作品。
隣に住む美しい女性に思いを寄せる小人の歪んだ愛を描いた第1話のサイレントムービー「The Same」がなんとも言えない切ない物語。
by takeoverproject | 2007-06-04 15:45
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