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1981年8月16日(獅子座)神戸出身。東邦出版に勤務するフットボールジャンキーな編集長・中林良輔による多角的サッカー日記。カントナとゴッドファーザーをリスペクトし、心のクラブはマンU。
by takeoverproject
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出版業界での居場所
現在、出版業界では年間に出される本の数が年々急激に増えています。ただ、そこにはそれだけの需要があるというわけではなく、単なる自転車操業です。これはものすごく良くない傾向です。運が良ければ一生読者の手元においてもらえる“書籍”というとても意味のある存在が、どんどんやっつけ仕事の産物になっているわけです。

幸いいまのところ僕は可能な限り自分の担当するサッカー本に時間を注ぎ、愛情を注ぎ、著者との信頼関係を築き、1作品1作品こだわって作ってきました。1冊も後悔のあるサッカー本はありません。これは生意気な勢いだけの若僧の熱意に理解のある仕事環境や、一緒にお仕事をしたサッカーを愛する著者や関係者の方々にとてもとても恵まれてきたおかげです。
先月出版した【アイラブ英国フットボール】も著者のフットボールに対する長年の情熱が形になった素晴らしい作品ですし、現在進行している企画も、だれもやらないような大変な作業を進んでサッカーのために徹夜を繰り返す著者の情熱と、それに負けるものかと食らいつくサッカーを愛する自分がいるからこそ、時間のかかる大変な作業にもやり甲斐が生まれ、読者の度肝をぬく1冊に仕上がるのです。愛情と時間と経験とセンスが良い本を作ります。僕にはまだまだ経験が足らず力不足ですが、良い本を作るのはとてもやり甲斐のある作業です。

ただ自分の出した本、関わった本がひとたび売れると、次々と似た作りの本が出され、次の月には書店に並びます。そしてそこにサッカー観戦を愛する読者や、サッカーがうまくなりたい一心で本を買いにきた読者に対する愛情が感じられないときには同じ作り手としてとても悲しくなります。。要は出したくて出す本よりも、ノルマとして出さなくちゃいけないから出す本の数がどんどん増えているのです。まさにやっつけ仕事です。

とはいえいつまでも他人事のようには言ってられません。このまま出版業界の自転車操業が続けば、いずれその波は必ず僕も飲み込もうと襲いかかってくるでしょう。
そこであえて1度波にのまれてそこから解決策を模索してみるか、打ち付けた杭から頑なに離れずに自分の信念を貫くか、波を避けて浜に新たな居場所を探すか。

そのときがいつ訪れるかはわかりませんが、いつかは決断が迫られます。
by takeoverproject | 2005-11-10 21:26
<< ご無沙汰です。 まー、僕なりに大変な日々でした。 >>